12月23日号
三が日初詣で 滋賀県内トップ45万人 近江鉄道「多賀大社前」

正月には大勢の参拝客が押し寄せる多賀大社への玄関口
 “お多賀さん”の名で親しまれている多賀大社の最寄り駅。大正3(1914)年3月、近江鉄道・多賀−高宮間2・5キロが開通して多賀駅として開業、平成10(1998)年4月に多賀大社前と改称した。駅名の変更とともに駅舎も一新、同14年12月には住民らの作品展示や憩いのスペースもある「多賀大社前駅コミュニティハウス」が完工した。

 大社の玄関口にふさわしい大きな石の鳥居をくぐると表参道・絵馬通り=写真下=だ。大社まで、歩いて十数分。両脇には土産物屋、料理旅館、うどん屋などが立ち並ぶ鳥居前町の商店街がつづく。何はともあれ、多賀名物・糸切り餅(もち)を求める。店の人の話では現在、この餅を作っているのは3軒だけになったという。

 「昔は店も多くて、どこでも糸切り餅を作っていたものですが、今は地元の人も、お参りの人もほとんど車で、近江鉄道の利用客が減少するのに連れて商店街の人通りも寂しくなりました」というのは、多賀町観光協会事務局長の土田雅孝さん。

 同鉄道の統計によると、昭和40(1965)年には80万人を超えていた年間乗降客が、ここ数年は10万人前後で推移。二十数年前に比べても半分以下になっている。駅周辺がにぎわうのは、お多賀さんへ参拝客が押し寄せる正月だ。元日から5日間で年間の1割にあたる1万人前後の利用客が集中する。多賀大社の正月三が日の初詣で客は、今年も県内トップで約45万人を数えた。


 「商店街も、さすがに正月は活気がもどります。普段は勤めに出ていて店を閉めているけど、正月だけは営業して鍋焼きうどんを食べさせる古い店もある。じつは鍋焼きうどんは昔から多賀の名物なんですよ。町おこし、商店街の活性のためにも、これからもっと宣伝しようと思っているところです」と土田さん。おもしろいアイデアではないか。

 町内に「鍋尻山」という標高838メートルの山がある。「鍋尻」とは鍋の底の火のあたるところ。「鍋尻を焼く」といえば、結婚して世帯を営む事−と、広辞苑にもちゃんと出ている。さて、多賀大社はイザナギ・イザナミという夫婦神を祭神としている。すなわち、日本で最初に「鍋尻を焼いた」神様だ。そういうところから“鍋焼き”が多賀の名物として定着したのではないかというのだ。こじつけにしても(失礼)、うまくできている。ひょっとしたら、多賀が鍋焼きうどん発祥の地という説が流布される日が来るかも、と愉快になった。

 となれば、ここで鍋焼きを食べずに帰るわけにはいくまい。商店街を歩いていると、なるほど「鍋焼きうどん」の看板がよく目につく。その一軒の「不二家」に入ってこの話を持ち出すと、主人の藤山禎一郎さん(67)は百もご承知。「鍋尻焼き」について手書きの説明書きが、店の壁に張ってある。この店では、鍋焼きうどんのことを、鍋尻焼きと呼んで供しているのだった。

キリンビール滋賀工場(多賀町敏満寺)

 全国に12カ所あるキリンビールの醸造工場の一つ。敷地面積約36万8000平方メートルは甲子園球場の10倍以上の広さだ。大瓶に換算して1日およそ200万本のビールや発泡酒を製造しており、出来立てのビールが試飲できる工場見学も受け付けている。工場に入ると、でっかいフラスコのような形の仕込み釜が並んでいて、ほのかに甘い香りが漂う。麦汁の匂いだ。これにホップを加えて発酵させ貯蔵した後、ろ過して出来上がったビールを瓶詰め(缶詰め)するまでの工程をガイドさんの案内で見学。工場内のゲストルームで試飲するビールの味は格別。1週間前に予約が必要。無料。

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