12月16日号

加藤智彦(かとう・ともひこ)
1978年、新旭町生まれ。安曇川高校、キャットミュージックカレッジ専門学校卒。(株)エスエフシーを経て、02年から新旭町(現高島市)職員。
「演劇 地域に根付かせたい」 −「演劇集団つばめ」代表 加藤智彦さん(27)

05年に全国青年大会で最優秀賞を受けた「プラットホーム」の舞台。右が加藤智彦さん
 加藤智彦さんが主宰する「演劇集団つばめ」は、全国青年大会の演劇祭で2年続けて最優秀賞を受賞した。創作脚本賞、優秀舞台美術賞とのトリプル受賞である。

 高校で入った演劇部が加藤さんの人生の方向を決めた。「ずっと芝居にかかわって生きていきたい」−。大学進学を勧める父の助言を振り切って、大阪・江坂にあるキャットミュージックカレッジ専門学校に入学。目指したのは照明技術者だった。「照明や音響への関心が強かった。もともとスタッフ志向なんですよ。役者の才能はないなと思ったし…」。卒業後は小劇場の公演をサポートする神戸の会社に入り、舞台照明の仕事に従事した。

 故郷の新旭町(現高島市)に戻って役場に就職。町教委が計画した児童生徒の土曜休日対策の一環として「劇団しんあさひ」を立ち上げる。東京在住の劇作家・演出家の大峰順二さんを迎え、3年にわたって指導を受けたことが劇団の骨格をつくった。児童劇だけでなく、町制50周年記念の町民劇として、新旭町出身で桜美林大学の創設者である清水安三の生涯をたどった「その空に虹をかけよ」を100人近い住民の参加を得て上演した。

 「地域に演劇を根付かせたい。演劇活動を持続させたい」と、2005年に劇団を大人向けの自主組織に改組。加藤さんは発声訓練などの基礎指導のほか脚本・演出・照明・音響と1人で数役をこなしている。現在のメンバーは小中学生7人を含めて16人。「大人は働きながら参加している人ばかり。共通するのは芝居が好きということ」−。「日常性と異なる世界を垣間見たり感じたりできるのが芝居の魅力」と語る加藤さんの好きな演劇人はマキノノゾミ。それに加藤健一事務所の芝居にもひかれるという。

 いまの肩書は高島市職員。市内の文化ホールを管理運営するのが仕事だ。「豊かな地域文化を育てるという点で、仕事と趣味が一致するのがうれしい」と笑う。若々しい好青年だが、すでに1児の父。市職員である圭子夫人は劇団のメンバーではないが、広報やチケット販売などでサポートしてくれる。「早く帰って育児を手伝うよう時々小言も言われるけど、やりたいことはやればいいとも言ってくれる」と、ちょっと惚気(のろけ)てみせた。

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