11月25日号
滋賀県内トップ、乗降客6万人 JR東海道線「草津」

草津駅と、東口のデッキに設けられた「街道ふれあい広場」(中部近鉄百貨店草津店7階から)
 「草津ゥ、草津ゥ」のアナウンスとともに、列車からどっと吐き出される乗客の波。人口11万を超える草津市のターミナルだ。1日平均乗降客6万人以上は、もちろん県内トップ。

 橋上の改札を出た人波は左右へ、つまり東口へ、西口へと分かれて流れる。

 さて、この人波の中に群馬の「草津温泉」にやってきたつもりの人が交じっていることがあるとか。「草津よいとこ一度はおいで」の、あの湯の町と勘違いしてである。しかもナント、ここ草津市には本当に「草津温泉」があるのだ! ただし銭湯だけど−。

 東口に近いその銭湯を訪ねてみると、たしかに壁面に「KUSATSU ONSEN」の文字。「大正の創業です。当時から、群馬の温泉と間違えて来られる人が多かったんですが、今でも時々ありますよ」と経営者の山本房夫さん。

 思わず吹き出しながら、最新の草津駅周辺を見ようと、舞い戻った。

 西口側は琵琶湖へ向かって開けた平野部。新興住宅地や大規模なスーパー、ホームセンターの進出が目立つ町並みだ。

 一方、東口側は、歴史と近代化との両立を目指して発展しようとしているエリアで、見どころも多い。

 橋上の東口から歩行者デッキにある切妻屋根の門をくぐれば、駅前のバスターミナルの上を覆う形の広場に出る。ギターを奏でている若者の姿も。

 市が作ったこの橋上広場の名は「街道ふれあい広場」。江戸時代、草津が東海道で52番目の宿場であったこと、また美濃路や木曽路を経て江戸に至る中山道の起・終点であったことを踏まえての命名だ。


 それにしても、この広場から見回す視野の中にマンションなど高層ビルの多いこと。もはや草津では、20階になんなんとする程度では珍しくないのだ。例えば目の前にそびえているのは32階建ての「タワー・111」ビル。文字通り111メートルもある。

 近々、東口で着工される高層ビルもある。渋川1丁目2番地区市街地再開発組合による29階、104メートルの複合ビルだ。「旧中山道に面する部分では、歴史感覚を生かしたスペースも整備します」という同組合理事長・中村喜和さんの話が、草津が目指す街づくりを示唆している。

 駅から少し東へ歩けば旧中山道の商店街。そのアーケード街を南へたどった所に旧草津川の下をくぐるトンネルがある。

 抜けた所が旧東海道と旧中山道の分岐。京都方面から来た旅人のための道標=写真下=が今もある。側面に「右 東海道いせみち」「左 中仙道美のぢ」の文字。

 道標近くの大きな屋敷は旧草津宿本陣。吉良上野介や新選組の土方歳三ら有名人が宿泊したことを示す宿帳も残っている。

 さらに近くには、市の草津宿街道交流館もある。街づくりのキーワードの一つが宿場と街道であることがうかがえる施設だ。

 祝日のせいもあって、そんな施設や旧街道など旧跡は、観光客らで大にぎわい。もはや、群馬の草津と間違えてやってくる人などいなくなるであろうことを予感させる光景だった。

草津宿街道交流館(草津市草津3丁目)

 草津宿には、天保年間、大名らが利用した本陣2軒をはじめ、脇本陣2軒、旅籠(はたご)72軒があった。交流館はそんな歴史をできるだけ体験的に知ってもらうための市営の施設。1階では街道情報の展示だけでなく、浮世絵刷りを体験できるコーナーが人気。2階では、草津川の渡しの様子を細かく教えてくれるコーナーや、旅装束を着用し、駕籠(かご)に乗れる旅体験コーナーが人気。1階は無料、2階は有料(大人200円、本陣との共通券320円など)。休館日は毎週月曜(月曜が祝日ならその翌日)と祝日の翌日(土、日曜と重なれば開館)、年末年始。

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