11月18日号
眼前に瀬田川、門前町へ 京阪電鉄石山坂本線「石山寺」

瀬田川近く、床しい雰囲気が漂う駅。石山寺までは徒歩10分ほど
 湖都屈指の古刹(こさつ)・石山寺の最寄駅が、石山寺駅である。京阪石坂線の始発・終着駅。開業は大正3(1914)年と古く、石山蛍谷駅という床しい名で呼ばれた時期もあった。小高い山の緑を背に、瀬田川の清流を眼前にする美しいロケーションだ。3面2線のホームを持ち、2線ともホームに挟まれる形式はちょっと珍しい。

 駅にはステーションスタッフと呼ばれる若い女性が交代で勤務している。電車のワンマン化に伴って採用された駅務担当の契約社員だが、明るい笑顔と柔らかな物腰で利用者の評判も上々だ。勤めて3年少しになるという北村喜栄さん(27)は「駅や電車のローカルな雰囲気が好きです」という。7分半ごとに電車が発着し、一日の乗降客は昨年実績で約3200人。定期券の発売、改札のサポート、時には観光ガイドも引き受けるとあって結構忙しい。「でも楽しいですよ。ずっと続けたい」と北村さん。

 駅から南へ10分も歩けば石山寺である。観音霊場として古くから信仰を集め、参拝客は四季を問わず多い。紫式部が「源氏物語」を書いた寺としても知られ、11月末まで境内の豊浄殿で「石山寺と紫式部展」も開催されている。門前の公園では毎月18日に牛玉(ごおう)の市も開かれてにぎわう。


 駅から寺への道筋と寺の山門周辺は、古くから門前町として栄えた。いまも、石山温泉の旅宿や名物の「しじみめし」が味わえる飲食店が軒を連ねている。だが「かつてほどのにぎわいはなくなりました」と、料理店「湖舟」を営む徳永毅さん(66)は顔を曇らせた。

 「山と川に挟まれて平地が狭く、新しい施設は造れない。対岸に住宅が増えて、風景も変わってしまった。石山寺周辺だけを考えていてはもう限界です。唐橋から大石まで魅力のある観光資源はたくさんあるので、瀬田川を縦軸にして面的な広がりを持つ観光地をアピールする工夫が必要です」という。また「琵琶湖のアユやフナ、モロコ、シジミなど水産資源の回復も図らねば…」とも。瀬田シジミも地元料理屋の需要さえ満たせないほど減少しているのが現状だそうだ。

 観光の起爆剤として期待されているのが、就航して3年になる瀬田川リバークルーズである。4月から11月末まで、瀬田唐橋から石山寺を経て南郷洗堰のコースを、昔懐かしい外輪船が清流をすべるように航行する=写真下=。定員100人。大人1000円、子ども半額の1時間25分の船旅だ。石山寺港の浮き桟橋前で切符を売っている久保種和さん(70)は「桜の季節もいいけれど、船から眺める紅葉はことに素晴らしい。他府県からのリピーターも増えていますよ」と自慢する。

 8歳から漁師をしてきたという久保さんの悩みは、水の汚染と漁獲量の減少だ。「コイもフナも獲れない。網にかかるのはブルーギルばかり。シジミも8キロも獲れれば上出来という始末。昔はドラム缶いっぱい獲れたんだけれど」−。

水のめぐみ館・アクア琵琶(大津市黒津4)

 琵琶湖総合開発事業の完成を記念して平成4年11月、瀬田川畔の南郷洗堰近くにオープンした。国土交通省と水資源機構が管理し、琵琶湖の成り立ちから利水・治水の歴史、水理現象、南郷洗堰の変遷、琵琶湖総合開発の成果などが、多彩な映像や展示で学習できる。世界最大の豪雨を体験できるコーナーも。石山寺駅から京阪バスで10分、瀬田川リバークルーズの「アクア琵琶港」も構内の北端にある。火曜(祝日の場合はその翌日)と年末年始(12月28日〜1月4日)休館。無料。

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