8月12日号
花見 泳ぐ スキー 遊び心満載 JR湖西線「マキノ」

春は海津のサクラ、夏には遊泳客らでにぎわうマキノ駅
 地名「皇子山」は、壬申(じんしん)の乱(672年)で大海人(おおあまの)皇子に敗れ、近 車窓からの眺めは、駅に近づくにつれ深緑の木々が目立ち、その間に田園風景が見え隠れする。「マキノ町一帯の景観は、県内でもほかとどこか違い、北海道の高原地帯を思わせる雰囲気がある」と言った同僚の言葉がふと頭に浮かんだ。

 駅に出る。カラッとして空気は澄み思わず深呼吸を誘う。駅前はこぢんまりした広場に整備されている。高低のケヤキやツツジなどがそこここに植えられ、夏盛りの今ごろは樹間を縫う風が肌に心地よい。当地へ長期アルバイトで京都から訪れたという学生八巻史紅さんは「風景を見て、ふるさと・仙台の杜(もり)の都を思い出しました」と懐かしそうに駅周辺の印象を話した。

 現駅舎は、湖西線開業時の昭和49年に建てられた。鉄筋コンクリートの平屋。駅はJR関連会社へ業務委託され、勤務して7年目という坂本義美さん(62)は「これからのシーズン、関西方面の観光客らが増えますが、車でお越しの方がほとんど。乗降客は1日150人前後ですか。地元の方も安曇川や近江今津へ買い物などによく利用されますよ」という。そんな小さな駅だが、日本さくら名所100選の1つ・海津大崎の桜が見ごろの4月中旬には「駅は1000人を超える観光客らでごった返し、応援の職員を派遣してもらっています」。


 駅前のケヤキ並木の大通りを歩いて約10分、マキノサニービーチの高木浜=写真下=に着く。海津湾の西側にある。ビーチは同浜と南の知内川河口付近の知内浜間約1キロがゆるやかな渚線を描く。昭和62年「日本の白砂青松100選」に、そして今年5月には環境省選定「快水浴場百選」にも選ばれた。快晴の浜辺では、大阪などからやって来た車の家族連れや若いカップル十数組が三々五々、泳いだり、浜に寝そべったりして夏を満喫していた。管理事務所の田中豊支配人によると、浜に設けられたオートキャンプ場サイト80カ所は、8月の12日から17日ごろまで予約でほぼいっぱい。問い合わせも多い。

 目をほんの少し南へ転じると、スタンドの形からそれと分かる皇子山球場が見える。正式名 浜から山手に入ると、町の象徴・メタセコイア並木道や観光果樹園マキノピックランド、さらに北には緑のじゅうたんを敷き詰めたマキノ高原スキー場が広がる。スキー場は夏はキャンプ場として利用され、木々の下に100張ほどのテントが並ぶ。愛知県小牧市から訪れた家族連れは「高速道路を使い1時間半ほどで、こんなにすてきな所が…」とすっかり気に入った様子。2泊3日のキャンプ初日は子どもたちとピックランドで、ブルーベリーやブドウ狩りを楽しんだそうだ。

 他の地域と違い、確かにマキノ町には手付かずの自然が多く残る。こうした魅力を観光客誘致に結びつけ、各スポット観光地は夏のにぎわいを見せている。ビーチから車で北東に約20分の在原には、かやぶき民家十数軒が、昔ながらの静かな山里の風景をとどめる。また、京都と北陸を結ぶ重要な港町として栄えた海津周辺には、今も当時の面影を伝える町並みが残るなど観光地として多彩な顔を持つマキノ町。その魅力をあらためて発見させてくれた。

メタセコイア並木(高島市マキノ町蛭口〜牧野)

 JRマキノ駅から車で約5分。道路の両側に約2・4キロにわたってメタセコイア並木が続く。計500本が植えられ、高原やスキー場に向かう観光客らに四季折々の風景を楽しませる。春の新緑、夏の深緑、秋の紅葉、そして冬の裸樹・雪花と。夏真っ盛りで今は緑のトンネルを形成、涼しげな木陰を演出する。25年前、「マキノ土に学ぶ里」整備事業の一環としてマキノ町果樹生産組合が植えたのが始まり。最近は女性らの感涙を誘ったあの韓国ドラマ「冬のソナタ」の風景にそっくりとかで、訪れる女性らも多い。1994年に「新・日本の街路樹百景」にも選定されている。

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