6月17日号
琵琶湖観光の玄関口 京阪電鉄京津線・石山坂本線「浜大津」

路面を走る電車も今ではすっかり珍しくなった
 近江大津宮の昔から湖上輸送の拠点として栄えたこの地に、鉄道の駅が開業したのは明治13(1880)年、旧国鉄東海道線の初代大津駅にさかのぼる。大正2(1913)年には、大津電車軌道が浜大津〜膳所を開通させ、浜大津駅が誕生。東海道線はルート変更で貨物駅に、その後江若鉄道、京阪京津線の乗り入れなど幾多の変遷を重ね、江若と国鉄の駅は昭和44(1969)年に廃止された。

 現在の浜大津駅はその跡地に建設されたもので、京都市営地下鉄に乗り入れる京津線と、石山坂本線の合流点になっている。昭和56年、びわこ国体開催を前に整備された駅舎は、点字の運賃表や案内表示、誘導鈴、エレベーター、エスカレーターなどを備えた橋上駅。「琵琶湖観光の玄関としてバリアフリーに配慮し、安全で気持ちよく利用していただけるよう心掛けています」と、京阪電鉄大津運輸課首席助役の中北正信さん。1日の列車発着本数(平日)は京津線172、石山坂本線200。平均乗降客は約5500人を数える。

 改札を出ると、すぐ目の前に琵琶湖の壮大な景色が広がる。大津港の防波堤に設置された世界最大級という大噴水の放水のタイミングに合わせたように、南湖を周遊する外輪船ミシガン=写真下=の白い船体が入港してきた。下船する一組のカップル、高瀬信男さん(61)・幸子さん(58)夫妻に話を聞くと、草津市にお住まい。「琵琶湖のそばに住んで22年になりますが、子どもたちからの誕生日プレゼントで、初めて乗ったんですよ。見慣れている琵琶湖が新鮮で、なかなかいいものですね。実は今日は結婚記念日で…」と信男さん。ちょっといい話に、湖上を走る風が心地よかった。


 湖岸から一転、山手に目を向けると、旧東海道の面影を残す古い町並み。路面を走る京津線の軌道がカーブする辺りに、創業明治二年「三井寺力餅(もち)本家」ののれんが目に入る。大津・追分の宿場で旅人に愛されたという、きねつきした小餅に蜜と青大豆のきな粉をたっぷりかけた素朴な味が人気。「いっさか(石坂)線や京津線で買いにきてくれるお客さんも多いですよ」と、4代目主人の滋野啓介さん。

 さらに山手に向かえば、大津市の中心街。ナカマチ商店街のアーケード通りをぶらついてみると、県内最大の商店街もシャッターが下りたままの店がぽつん、ぽつん。明治期から店を構えているという洋品店の主人が言うには、住民の高齢化が進み、江若鉄道の廃線と湖西線の開通で、特に湖西からの客足がすっかり遠のいたという。「夏の夜市は通りを人が埋め尽くしたものですが、寂しいことですわ」と、つい愚痴っぽくなる。でも、この町には「大津まちなか元気回復委員会」という住民組織があるのを知って、こちらも元気付けられる思いがした。

 土地の言葉が飛び交う商店街は地域の顔だ。知らない町でも、商店街を歩いていると、なんとなく懐かしく、気分も和らぐ。

浜大津アーカス(大津市浜町)

 緩やかなカーブを描くブルーを基調にした外観は波をイメージしたという。浜大津総合整備事業の一環で平成10年4月、隣接する琵琶湖ホテルとともにオープンしたアミューズメント館。館内には5つの映画館、40レーンを備えるボウリング場、カラオケルーム、レストラン、ゲームセンターなどの施設がそろう。2、3階にあるセガ・アリーナでは、特殊メガネを着けて異次元世界を疑似体験するスリル満点のゲームマシーンなどが楽しめ、若者に人気のスポットだ。浜大津駅から徒歩5分、700台収容の有料駐車場がある。無休。電話:077(527)6555。

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