5月27日号
モダンな駅舎「大凧」誇る 近江鉄道「八日市」

ヨーロッパの山小屋を思わせる三角屋根の駅舎
 広い空の下、2両編成の電車が蒲生野をのどかに走る。レモンイエローの車体が田園にお似合いだ。

 JR近江八幡駅からこの近江鉄道に乗り換え、約15分で八日市駅。

 線路はここから、北のJR米原駅にも、南のJR貴生川駅にも延びている。つまり八日市駅は内陸の町・八日市の拠点なのだ。

 現在の路線の形が整うまでには近江鉄道の誕生や、同鉄道と八日市鉄道との合併などあったが、明治時代にはもう「ガチャコン」の先輩が、この地で鉄道の歴史を刻みつつ走っていた。

 市名は平成の大合併で「東近江市」に。代わってこの駅が八日市の名を守っていることを見ても、人々が駅や路線に寄せる思いを察することができる。

 「1日4、5000人。学生さんや年配者の乗降が多いです」と駅長の山本次男さん。土、日、祝日発売の、何回でも乗降できるフリー切符も人気だとか。

 大正建築の旧駅舎が老朽化したので平成10年、ヨーロッパの山小屋のような三角屋根、鉄骨2階建ての新駅舎になった。

 1階にはコンサートなどが催せるホール、2階には市管理の200台収容の駐輪場もある。そんな工夫も評価されて、6年前「近畿の駅百選」に選ばれた。

 「一番の特色は、八日市が世界に誇る大だこ揚げの伝統と連携していることでしょうか」と山本駅長。なるほどホールの天井には8畳敷きのミニ大だこが掲げられているし、表の郵便ポストにも大だこをデザインした飾りが付いている。


 毎年恒例の、100畳敷きの大だこを揚げる「八日市大凧(だこ)まつり」の日には、遠来の乗降客も多く、駅から会場の愛知川八千代橋そばの河川敷まで、祭りの実行委員会によるシャトルバスが運行される。

 今年の「八日市大凧まつり」は明日午前から。100畳の大だこを揚げるには100人の引き手が必要で、当日募集される。ミニ八日市大凧コンテスト、各種バザーなどさまざまな催しも用意されている。

 駅舎を出て気付くのは、駅前大通りにはスーパーなどもあるのに、風景がゆったりしていること。せわしい人影はなく、第一、駅前の辻にも信号がない。

 そのまま駅前通りを少し東へ歩くと、江戸時代の御代参街道(東海道脇往還)との辻になるが、ここにも信号がない。

 辻を右折するとアーケードの架かった「ほんまち商店街」=写真下=。

 伊勢参りの旅人などでにぎわったこの街道の商店街も、真昼のせいか時間がゆったり流れている感じ。

 中に「まちかど情報館」の看板を掲げたショップがあった。展示販売のほか、御代参街道や八日市史などについての情報提供コーナーが置かれている。

 アーケードを抜けて、ふと仰ぐと、内陸の町なのに空が広いことに気付く。

 この空が、そのまま琵琶湖の空ともつながっているのだから、八日市の空はますます広いわけだ。

 そうか、この大空があってこその大だこなのか、と納得しつつ、足はおのずと「世界凧博物館 八日市大凧会館」へと向かった。

八日市大凧会館(東近江市八日市東本町)

 正式名称は「世界凧博物館 八日市大凧会館」。300年の伝統を持つ国選択無形民俗文化財の八日市の大だこを中心に、たこ揚げ文化について展示している。吹き抜けには「八日市大凧まつり」で揚げられた100畳敷きの大だこ、2階には日本各地や世界36カ国のたこの展示がある。

 八日市大凧で過去最大は明治15年に揚げられた240畳敷き。たこの縦の丸骨を取り外せるように工夫して、持ち運びや狭い所に保管できるようにした知恵などについても学べる。入館料200円(小中学生100円)。水曜、祝日の翌日、第四火曜など休館。電話:0748(23)0081。

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