4月22日号
今秋、環状線開通 重責担う JR湖西線・北陸線「近江塩津」

「海道・あぢかまの宿」を模した和風の近江塩津駅舎
 湖西線と北陸線の滋賀県内最北の駅である。殺風景な駅舎を想像していたが、なんと、しゃれているのに驚かされた。しかも無人駅ではない。訪れたのは昼ごろだったが、明るい待合室には、観光客や地元の人たち数人がのんびりと列車待ちしていた。

 現在の駅舎は平成7(1995)年10月の開設。「西浅井町の玄関口に」と、それまで無人駅だったのをJRから町が借り受けた。合掌造りの民家をほうふつさせる建物。屋根は瓦だが、黒と白を基調にしたそれは旧塩津海道=写真右=沿いに現存する船宿、通称「海道・あぢかまの宿」がモデルという。駅舎の正面右上に通称名を記す看板も掛けられている。

 旧駅の開業は昭和32年10月。もともと北陸線の駅で次の駅「新疋田」はもう福井県になる。昭和49年7月に、琵琶湖東側の北陸線に対し、西の湖西線が開通。以来、近江塩津駅は湖西線の終着駅の役目も果たす。駅構内では今「琵琶湖環状線」開通を今秋10月に控え、ホームを中心にした改築工事が急ピッチで進んでいた。

 環状線構想は、湖西線永原駅−近江塩津駅−北陸線長浜駅間を直流電化。近江塩津駅では、同一ホームで接続よく、短時間に乗り換えできるようにし、さらに東海道線を加え、ぐるっと琵琶湖を周回させる計画だ。環状線は県民、とりわけ湖西・湖北住民の積年の悲願だった。開通すれば近江塩津駅は、これまで以上の重責を担うことになる。

 利用者、住民の声を代弁して西浅井町総務企画課の大田久衛さん(48)は話す。「現在、湖西の近江今津駅から対岸の長浜駅へは1日4便、逆に長浜からは3便ありますが、開通すれば新快速が1時間に1便、普通は2時間に1便入る予定で、通勤や通学などにより便利になりますよ」。


 駅名に付く「塩津」。その名前は塩のない近江に塩が入ってくる港ということに由来するとか。古くから越前への交通の要衝で、京と北陸との物資輸送の中継地でもあった。名残をとどめる「旧塩津海道」には旧宿や菓子屋、雑貨店などが両側に軒を連ね、いまも宿場町の雰囲気を漂わす。福井県に抜ける深坂古道には深坂地蔵が祭られ、また往時、湖で活躍した丸子船の資料館は湖上文化の一端を伝えてくれる。

 北びわこ農協塩津支店を退職したばかりの平塚弘二さん(55)は「空気はきれいで住みよい町。大阪の娘を訪ねるのも便利になりますね」と笑顔を見せる。

 町内を貫通する国道8号が、駅の真ん前を通り、往来の車両が引きも切らない。改札業務にあたる西田覚さん(58)は、同町に住み毎週2人交代で勤務に就く。そして時間があれば待合の旅人らとの会話を楽しみ、見どころなどを紹介しているそう。

 現在の利用客は1日延べ400人ほど。登下校の高校生らが大半を占めるという。万葉からの古い歴史に彩られた地名を冠した「近江塩津駅」。今秋、環状線が開通すれば、京阪神への通勤を含めて至便になるだろう。駅舎はその日を待ちわびているように、湖北の青空に映えた。

奥びわ湖 水の駅(西浅井町塩津浜)

 昨年10月に国道8号沿いにオープンした西浅井町の農林水産物直売・食材供給施設。和菓子、米、琵琶湖の魚介類、生鮮野菜、漬物、花、野菜苗や特産品のほかジャムなどの加工品が並ぶ。登録町民(現在220人)ならジャガイモ1個でも販売できる。もちろんふなずし茶漬けセット、海道寿司、天ぷらうどんなどといった軽食も食べられる。オープン以来、特に毎週土日は、地元民をはじめ県内外の観光客やドライバーらでにぎわい「レジを通るお客さんだけでも1日1000人以上」(同施設の話)という。営業は午前9時−午後5時。定休は毎週火曜と金曜。電話:0749(88)0848。

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