1月13日号

齊藤江湖(さいとう・こうこ、本名・友一)
東近江市(当時の八日市市)生まれ。印章1級技能士。01年全国技能グランプリ・印章彫刻の部第1位(金賞受賞)。父の勲さんと印章店を経営。
「手彫りのハンコの良さ広める」 
−手彫りハンコ職人 齊藤江湖(本名・友一)さん(38)

江湖流のHANKOスタイルで世界を見据える齊藤さん
 路上やデパートで実演もするし、個展も開く。従来のハンコ屋さんのイメージを一新する新世代の手彫りハンコ職人である。

 「世界で1つしかないハンコを彫る」。江湖流と名付ける齊藤さんのハンコの特徴は、篆(てん)書体を基本としながらも字全体を自らの感性で柔らかな形に変え、花びらやハートを散らすものもあるなどユニークである。

 銀行印や実印でさえも、こんな調子で仕上げてしまう。もちろん、従来型の書体でも彫ることは言うまでもない。が、若者らに江湖流が受けるのは、堅いハンコのイメージを払拭(ふっしょく)するかわいらしさにあるようだ。

 江湖流の注文がくれば、「客の希望に私の感性を加味して彫る」といい、「ハンコを押すのが楽しくなった」との客の反応には「この仕事をしてよかった」と素直に喜ぶ。全国技能グランプリ金賞受賞の輝かしい腕が江湖流を裏打ちしている。

 東近江市八日市上之町で70年続く印章店の3代目。高校を出て6年間、現代の名工にも選ばれた大阪の辻成軒氏のもとで修業した。道具の印刀の研ぎ方からみっちり指導を受けた。「良いものをたくさん見よ、との師匠の勧めで絵や書などの展覧会によく通った。これが今の私を支えている」と辻氏に感謝する。

 「手彫りのハンコの良さを広めよう」と、街頭実演を始めたが、その最初が大阪ミナミの橋の上だった。ブライアンというアメリカ人に「武雷庵」と彫って渡すと、大層喜んだ。「手彫りのよさは外国人にもわかる」と感じ、一昨年の7月にはロンドンで路上ライブをした。

 齊藤さんには「自由に楽しく書く文字」という筆文字の特技もある。ハンコ彫りも筆文字も一体のものらしい。その筆文字にしても、大手の酒造会社の清酒のラベルや商店の看板などにも使われているから半端ではない。

 京都や大阪のデパートなどでハンコと筆文字をドッキングさせた実演販売をしたり、陶芸家や木工家などの仲間と合同の展覧会を開いたりと活動的である。

 「手彫りのハンコは日本の伝統文化。その良さを伝え、広めて行きたい」といい、「世界の人に私のHANKOを…」と、目標は大きい。

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