1月6日号

金尾滋史(かなお・しげふみ)
1980年生まれ。広島県出身。地元の高校を卒業後、滋賀県立大学環境科学部に入学。現在同大学院博士課程に在籍しながら現職。多賀町在住。
「多賀の自然 博物館に」 
−多賀の自然と文化の館学芸員 金尾滋史さん(26)

子どもたちとの校外学習で自然との触れ合いを伝える金尾さん(犬上川の河川敷で)
 自然の中でいろんな生き物と出会うのが好きだ。自然がいっぱいの多賀町には秋から冬にかけてオシドリがやってくる。春には山の小鳥たちが美しい音色を奏で、渓流にはイワナが遊んでいる。「多賀の町の素晴らしい自然を住む人にもっと知ってほしい。地域のみんなでつくる楽しく、肩の凝らない博物館にしたい」。

 広島県の片田舎に生まれ、子どものころから川魚や野鳥を追っかけた。高校時代に琵琶湖をフィールドワーク地に決め、学芸員の道を目指して滋賀県立大学に進学した。「長年続いてきた琵琶湖と人の調和が崩れている。湖畔の開発で、シンクロしていた『いい関係』が壊れて人のためだけの湖になってきた」と琵琶湖の環境を憂う。

 朝、博物館に出勤。館内の生物全般の管理、運営、講習会や来訪者のガイド役を務め、地域の小学校に出向いたり、川辺や山、湖畔で生き物と人の出会いを演出する校外学習も。

 「子どもたちの自然や生き物に対する好奇心は以前と変わっていない。けど、こんなに生きた自然がいっぱいあるのに教室の授業でしか学べない子どもたち。放課後の塾や多彩なおけいこごとで忙しすぎる」と子どもの世界を危惧(きぐ)する。「僕たちの少年時代のように学校の行き帰りに道草したり、魚や昆虫を捕らえて博物館に持ち込んだりする自由奔放な子どもの世界が必要ではないか」と思う。

 魚や小鳥たちの話を始めると、まるで大好きな友だちのことのように冗舌になる。

 夜は、暇を見つけて大学の研究室に通い、博士号取得を目指す。休日も琵琶湖周辺にフィールドワークに出かける。「趣味を仕事にしちゃったので、多忙だけど、みんなつながっていて好きなことなので苦になりません」と笑う。茶目っ気たっぷりの笑顔がほんとに楽しそうだ。

 将来の夢は「当面は博士号を取得すること。でも、この博物館がもっともっと忙しくなって、町民の皆さんと一緒にいろんなイベントができるようになったら、博士号よりそっちの方を優先させますよ」。

 メガネ越しに、少年のような瞳が光った。

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